2023年版中小企業白書に、事業承継を実施した企業は、実施していない企業と比べて企業パフォーマンスが高い傾向にあり、事業承継は成長の機会になり得ると考えられる、という調査結果が示されています。
しかし、事業承継の初期段階では売上高成長率が同業種平均を下回ることが多く、事業承継後の2年目まではその傾向が見られます。3年目以降になると、売上高成長率は同業種の平均を上回り、特に5年目からその傾向が強まっています。
※図は中小企業庁「2023年版中小企業白書」から出典
■なぜ一時的な成長の鈍化が見られるのでしょう?
後継者が経営の舵取りに慣れるまでの準備不足や、従業員や取引先との信頼関係の構築に時間を要することなどがその要因として考えられます。中小機構の調査によると、後継者が先代から事業を引き継いだときに苦労した点として、「経営力の発揮」「取引先との関係の維持」「一般従業員の指示や理解」「金融機関との関係の維持」「役員や経営幹部の指示や理解」などがあがっています。事業承継後3年目以降は、後継者が経営者としてのスキル向上や関係者との信頼関係を確立し、事業承継の効果が実を結び始める時期と考えることができます。
■後継者育成は持続的な企業成長を支えるカギとなる
事業承継の初期段階の課題を乗り越え、持続的な成長を実現するためには、事業承継前から後継者の育成をしっかりと行うことが欠かせません。つまり、次世代のリーダーである後継者を育てることが企業の持続的な成長を支えるカギとなります。事業承継を成長の機会とするために、後継者育成の重要性に目を向け、今から準備を進めていきましょう。