中小企業庁は、中小企業の事業承継やM&A(事業再編・事業統合等)を契機とした経営革新への挑戦を支援する「事業承継・引継ぎ補助金(9次公募)」の申請受付を開始しました。補助額は最大800万円。申請受付期間は4月1日~4月30日17:00です。
補助事業は「経営革新枠」「専門家活用枠」「廃業・再チャレンジ枠」の3つがあります。
■経営革新枠
事業承継やM&Aを契機とした経営革新等への挑戦に要する費用を補助します。支援類型は「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」の3つに分かれており申請者の状況に応じた申請が可能です。
■専門家活用枠
「専門家活用枠」は、M&Aによる経営資源の引継ぎを支援するため、M&Aに係る専門家等の活用費用を補助します。支援類型は「買い手支援型」と「売り手支援型」の2つに分かれています。
■廃業・再チャレンジ事業
「廃業・再チャレンジ事業」は、再チャレンジを目的に既存事業を廃業するための費用を補助します。
詳しくは中小企業庁のホームページをご覧ください。
https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2024/240318shoukei_kobo.html
では、どのような事業者や経費が対象となるのか採択事例を3つご紹介します。
※出典:事業承継・引継ぎ補助金Webサイト https://jsh.go.jp/case-study/「令和4年度 当初予算 事業承継・引継ぎ補助金_事例集(中小企業庁)」をもとにSMECコンサルタンツ(株)が作成しています。
【事例1】経営革新×経営者交代型
1.自社の概要
新潟県:食品製造業T社(従業員数:90名)
被承継者との関係:親子(親族内承継)
2.事業承継の経緯
親族経営であり事業を引き継ぐ方向付けはあったため準備を進めていた。10年ほど前から組織づくりを行っており体制が整ったため経営者交代という形で事業を引き継いだ。
3.経営革新等に係る取組と効果
冷蔵庫増築および冷蔵設備入替によって製造工程のボトルネックとなっていた冷却・保管の対応可能量を増やし増産と生産性向上による売上アップを図る取り組みを実施。
実際に冷蔵庫の増築・冷蔵機の増設により製造ボトルネックは解消し、間に合っていない受注に関しても間に合わせられる状況になってきた。
4.補助事業で使った経費の種類
・設備費(冷蔵庫増築費用、冷蔵庫増設費用)
【事例2】経営革新×M&A型
1.自社の概要
愛知県:理美容業S社(従業員数:20名)
被承継者との関係:関係性なし(M&A)
2.事業承継の経緯
当社は女性のための「トータルビューティーサロン」を目標にしている。しかし、既存事業は髪の毛やまつ毛、ムダ毛に対するサービスのみである。今回、美容サロンを承継することで「ボディケア」と「スキンケア」のサービス提供が可能になるため、承継を決めた。当社に対してエステサロン運営会社から赤字事業のため事業譲渡したいとの打診があり、事業デューデリジェンスを行ったところ、当社の経営知識とノウハウがあれば黒字化
が可能であると判断し、雇用も維持できることから事業承継することとなった。
3.経営革新等に係る取組と効果
美容サービスのメニュー化と新たな集客方法の構築により3千円前後の客単価が9千円前後へと大幅に上がった。M&A前は毎月30万円前後の売上だったが、現在は各月100万円を超えており、M&A前の3倍以上の売上を達成できている。
4.補助事業で使った経費の種類
・店舗等借入費(店舗家賃、駐車場費用)
・設備費(店舗看板、頭皮肌用診断機器)
・外注費(Webデザイン費用等、撮影費用)
【事例3】専門家活用×売手支援型
1.自社の概要
栃木県:ガソリンスタンドC社(従業員数:4名)
売上高:1億円未満 代表者の年齢:62歳
2.経営資源引継ぎの実施目的
当社はガソリンスタンドを2店舗運営。個人客の他、地域の中小企業や農家との取引を有する。同地区には、小まめな燃料配送を行う業者が少なく、地元の顧客から喜ばれている。
上記のような状況の中、当社には後継者がおらず、事業承継は長年の課題であった。代表者も60歳を超え、健康面等を考慮し事業引継ぎを計画している。
本件の目的は、当社と取引のある地元固定客との取引を守り、当社が得意とする燃料配送を継続していただき、地元経済を支えていくこと。当社が事業承継し従前のサービスを継続することで、引き続き地元企業は効率的な業務を行うことができる。また、地元の医療機関にも燃料を納めており、地域医療を陰から支える存在として当社の事業承継は必要性が高いと考えている。
3.引継ぎの形態
・事業譲渡
4.補助事業で使った経費の種類
・委託費(成功報酬)